とある病院の中間管理職にある中年医師(勤務医)の日常を徒然に綴るブログです。今や社会的弱者になりつつある勤務医の日常をありのままに公開します。
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一般の人はDPC制度というものの存在をご存知であろうか??国民の知らない間に大病院で始まった制度である。この間、他科でなかなか診断が付かず、結局内科の範疇の疾患であったために転科になった患者の親が一杯ひっかけて病院に登場し、大暴れを演じてくれた。お怒りの内容を要約すると
・なぜ診断までにこんなに時間がかかったのか
・毎日のように採血や画像検査をし、儲け主義にも程がある
というものであった。
たしかに他科も暗中模索の状態であったのであれば、もっと早く相談してくれれば診断までの時間を短縮できたのにとは思ったが、それはたられば論であり、仕方のない部分もある。というのも、人間の病気は一つだけではなく、合併すると分かりにくくなることはしばしばである。
しかし、後半部分は大きな間違いである。今、大病院ではDPC制度で動いているために、検査や投薬量が多くなればなるほど、病院は赤字なのである。つまり、定額医療制度、具体的にいうと肺炎と病名をつければ、一日辺りの値段というものが設定されており、この額を下回る医療行為しかしない場合その差額が黒字。その額を超えれば赤字になるのである。したがって極端な話、入院すれば何もしないほど病院は黒字になるのである。さらに、入院の原因となった病名一つ一つに入院日数というものが決まっており、これを超過すると一日辺りの値段が下げられるのである。したがって、大病院はとにかく転院させたがるのである。
以上から、この患者さんの訴えは全く逆なのである。そんなことはこの人に限らず日本国民の殆どは理解しておらず、相変わらず病院は検査漬け、薬漬けといった行為に勤しんでいると勘違いしているのが現状だ。
DPC制度では医療費の抑制が目的なのであるが、必要最低限の検査しかしなくなり、見逃しに繋がる非常にリスクの高い制度であることもまた事実なのである。
非常に日本の医療制度は間違った方向に進んでいるような気がするが、これも国民の総意(?)であるから、仕方なく従うだけである。
今後、混合診療がもし、実現化されれば、所得のない人は満足な検査をうけることもできなくなる日がそう遠くないような気がする。それでいいのであろうか・・・。
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